2009年06月02日

ユカリ 由香里 第4章  帰郷

  啓は川崎市の火葬場で荼毘に付された。ぼくは一張羅の、板についていないダークスーツ姿でそれを見守り、急報で駈けつけてきた彼の両親らとともに悲しみに沈んだ。
  初七日の法要は北海道でやるという。
  それは真夏の夢であってほしかった。決してあってはならないことだった。信じられないことでもあった。ユカリの予言が的中したこともふくめて。
 「ごめんなさい」、「すいません」。
  彼の両親や親戚に、何度頭を下げたことだろう。何度謝っても、何度悔いても悔いたりなかった。もちろん、「ユカリという少女の予言が当たったんです」などとは言わずに。
 「明日帰るから。友達が死んだんだ」
  手短に母親に告げた。
  そうしてぼくは北海道に帰った。 
ラベル:荼毘
posted by はむじの書斎 at 16:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 連載小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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